「関西学院世界市民明石塾」を開講(8/6~8/8)

[ 編集者:総合企画部(大学企画・グローバル化推進担当)      2019年9月11日   更新  ]
「開塾式」

「開塾式」

関西学院大学は将来のグローバルリーダー育成を目的として、明石康・元国連事務次長を塾長に迎え、高校生対象の「関西学院世界市民明石塾」を開講しました。

世界市民明石塾は今回で4度目の開催となり、本学西宮上ケ原キャンパスにおいて8月6日~8日の3日間の合宿形式のプログラムとして、全国の高校から選抜された30名の高校生が参加しました。「Challenges for SDGs!~生命(いのち)~」をテーマに、SDGs(持続可能な開発目標)からGoal2: 飢餓をゼロに、Goal3: すべての人に健康と福祉を、Goal6: 安全な水とトイレを世界中に、の3つの目標を取り上げて実施しました。

「明石康塾長基調講演」

「明石康塾長基調講演」


初日の8月6日には明石康塾長の基調講演が行われました。明石塾長は「異文化世界で生き抜く力」をテーマとして、グローバリズムと反グローバリズムが交錯する世界の中で、「日本人、そして世界人として生きること」、「常に問いを立て、一つではない答えを導くために考え続けること」、「自らの意見を持つと共に真摯に他者の意見に耳を傾け、国境を越えて良き友を得ること」、「対立や葛藤の中でもしぶとく生きること」など、グローバル人材に求められる資質や姿勢について語りかけました。基調講演後の対話セッションおよびランチセッションでも、対立を克服する方法、真の安全と平和について、多国間交渉でのコンセンサスへの導き方などについて質問が相次ぎ、参加者達は明石塾長のアドバイスに真剣に聞き入っていました。

続く午後には、鈴木大樹氏(一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)シニア・ダイバーシティ・ファシリテーター)によるワークショップを実施しました。参加者同士の対話を通じて多様性を体感するプログラムや、SDGsのプロセスを体験するカードゲーム、そしてSDGsを達成した2030年を想定し、各人が活躍する11年後を描く“ヒーローインタビュー”も行われました。
高校生達は地球上の経済・環境・社会の諸課題が密接に関係し合っていることを実感し、SDGsの目標達成のために世界市民として協力することの必要性を実感しました。これらのワークを通じ、参加者同士の仲が深まり、その後もチームとしてより活発な議論が展開されました。

また夜には、宿舎となった本学スポーツセンターにて、本学大学生サポーター6名との交流会も行われ、大学生達が自身のこれまでの経験や今の生活、今後望むキャリアなどについて発表した後、グループに分かれて高校生の質問タイムが持たれました。参加者達は、将来の進路や大学の選び方、大学での生活などについて次々と自由に相談し、大学生達の話を熱心に聞いていました。

「SDGsカードゲーム」

「SDGsカードゲーム」

2日目となる7日の午前には、久木田純教授(元UNICEFカザフスタン事務所代表)が講師を務め、主題テーマに沿って、“いのち”とSDGsゴール2・3・6について考えるセッションが行われました。「持続可能性」をキーワードに人類誕生から現在に至るまでの地球の移り変わりやSDGsゴールに関連する問題点について、久木田教授ご自身の経験や取り組みも交えながら講義が行われ、世界に現存する様々な困難や問題点を解決するために「You must be the change you wish to see in the world」と伝え、参加者たちは昨日に続きSDGsへの理解を深めました。

その後、参加者たちは、ジャーナリストの池上彰教授(本学客員教授)による特別オープンセミナー「世界地図から見る世界」に参加しました。池上教授は、アジア、欧米、中東など様々な地域や国の地図から世界情勢を紐解き、各国の文化、歴史的な背景と国家間の関係性などについて参加者にわかりやすく説明しました。また、特に若者達が国家や人々の意図と思惑を良く理解することを通じて、自分の考えを掘り下げ、また他者の考えにも耳を傾けることにより、より良い国際社会を築くために貢献して欲しい、との期待を語りました。

2日目の夕方には現役国連職員との対話セッションとして吉田明子氏(国連人道問題調整事務所(OCHA)神戸事務所所長)に国連職員に至るまでのキャリアパスや、OCHAでの仕事内容についてご紹介いただきました。明石塾参加者の中には将来国連職員を志す者や国際協力分野全般に関心を持つ者も多く、「ネパール地震発生後の調整業務で苦労したことについて教えてください」、「大学院の様子について教えてください」など予定時間一杯まで止まること無く質問の手が上がり続け、現役国連職員による話への関心の高さが伺えました。

「池上教授による特別オープンセミナー」(左)と「OCHA吉田所長との対話セッション」(右)

「池上教授による特別オープンセミナー」(左)と「OCHA吉田所長との対話セッション」(右)

「クラグストン教授による英語講義」

「クラグストン教授による英語講義」

最終日となる8月8日午前には、マッケンジー・クラグストン教授(前カナダ大使)による英語の講義「Development Assistance for Life – What can developed countries do through ODA」が実施されました。インドネシアでのケースを参考に都市部と地方の格差、汚職問題、先進国各国からのODAの内容とその成果について等、次のディベートセッションにも繋がる講義を受けました。今回の明石塾初となる英語による講義で緊張する塾生もいましたが、質疑応答の際には多くの手が上がりました。

続いて「グローバリゼーションは飢餓をなくすことができるのか」とのテーマにもとづき日本語と英語によるディベートが行われました。参加者は肯定派・否定派に分かれ、事前資料や課題、さらに世界市民明石塾での学びから、チームの中で意見を交わしながら主張を組み立て、準備を進めました。ディベート実施前には人生初のディベートに不安を口にする参加者もいましたが、本番では3つの会場に分かれ、どの会場でも参加者は物怖じせず積極的に議論に参加することで白熱したセッションとなりました。

世界市民明石塾の目玉でもある「生命に関する青年の声明」の作成は2日目と3日目に渡り行いました。塾生たちは5つのグループに分かれてSDGsゴール2・3・6に対する自分の思いをぶつけグループ毎に声明文案を作成し、続けて全体会合として各グループの案を一つの声明文へまとめ上げる作業を行いました。このセッションは、国連や国際社会における必ずしも価値観や方向性が一致しない場において合意形成を進めるプロセスを体感することも一つの目的としています。ファシリテーターの神余隆博教授(元駐ドイツ大使)と久木田教授のリードのもと、参加者は活発な議論を展開し、言葉の一つひとつを慎重に選びながら声明文を完成させていきました。声明文は全会一致で採択され、その後参加者一人ひとりが署名を行いました。

「生命に関する青年の声明作成の様子および署名式」

「生命に関する青年の声明作成の様子および署名式」

全てのセッションを終え閉塾式が執り行われました。修了証書の授与に続き、塾長の明石康・元国連事務次長より参加者への激励の言葉をビデオメッセージで頂きました。「世界市民明石塾で、国際的知識、見識、情報を得た皆さんが、豊かな知識を基に多面的で率直且つ熱心な議論を交換したことは、今後のキャリアを考える上でとても役立ったのではないか。今回、幅広い見地からSDGsの実現について考察し、よりフェアでより豊かな、より充実した社会の実現を目指すために、優秀で有能な社会の一員として、各人がどのような分野でどのようなスキルを獲得していくか、アイデアを得ることが出来たのではないかと期待している。この経験を土台に、皆さんが更なる一歩を踏み出し、その前進がもたらす成果を心待ちにしており、世界市民明石塾がひいては世界貢献の一歩となることを期待している。」とアドバイスされました。参加者は、明石塾長からの熱のこもったメッセージに真剣に耳を傾けていました。

修了式後は懇親会が開かれました。お茶やお菓子とともにリラックスした雰囲気の中、3日間の世界市民明石塾を振り返り、参加者全員が感想を述べました。「声明文作成の最初はバラバラだった意見が最終的に1つの文章に出来上がったことに感動した」、「自分の目標がみつかった」、「国連のような組織で働きSDGsの達成に貢献したい」、「同世代の参加者から刺激をもらった」など前向きな発表が相次ぎました。参加者に加え、3日間に渡り世界市民明石塾に協力してくれた関西学院大学の学生サポーターからも「ここで出会った仲間は財産。ぜひ交流をずっと続け、各自研鑽を積んでいってほしい。」というメッセージがありました。次代を担う参加者の皆さんが、これからもお互いに切磋琢磨し、世界市民明石塾での学びと経験が将来グローバルリーダーとして活躍するための一助となるよう願っています。

閉塾式

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