潮 華音さん(2019年国際学部卒)

[ 編集者:総合企画部(大学企画・グローバル化推進担当)       2019年3月29日   更新  ]

~ マレーシアでのボランティア経験後、兵庫県朝来・竹田城下町活性化フィールドワークに参加 ~

潮 華音さん

【プロフィール】

 2015年大阪府の桃山学院高等学校の国際コースを卒業。高校1年次にカナダ・ノバスコシア州の高校で1年間の留学を経験。大学では英語運用能力を高めつつ、国際関係の勉強がしたいと考え、2015年4月関西学院大学国際学部に進学。

 大学2年次秋学期に、国際社会貢献活動に参加しマレーシアでボランティア活動に従事。大学3年次秋学期には「社会探究実践演習(朝来・竹田城下町活性化PJ)」など、社会の課題に向き合い、実践的に解決策を考えるハンズオン・ラーニングプログラムに参加。海外での「インターナショナルプログラム」、国内での「ハンズオン・ラーニングプログラム」の両方に参加し、「トリプルチャレンジ」を修了し2019年3月に卒業。卒業後はグローバルに展開する電子部品メーカーに就職。

1.所属学部での学び(ホームチャレンジ)

多様な学びができる国際学部で、仲間と切磋琢磨した4年間

■国際学部ではどんなことを中心に学びましたか?

一つの専門分野に捉われず、多種多様な学びができる国際学部の強みを生かし、在学中の4年間は幅広くいろいろな学問に触れるように心がけました。ゼミについては、その中で特に関心を持った、移民や留学生などの「国際的な人の移動」を研究分野として選びました。3年次の秋学期にはゼミ活動の一環で、上海交通大学を訪問、現地学生との合同研究発表を行い、東京一極集中とインバウンド産業の可能性について、他のゼミのメンバーと協力して取り組みました。

 国際学部には高い語学力を持ち、プレゼンやディスカッションのスキルに長けた学生が全国から集まっていました。彼らとの交流を通し、自分自身ももっと切磋琢磨をしなければと刺激を受け、学部や英語の授業、そして海外でのボランティアや国内でのハンズオンの活動など、4年間を通して積極的に学ぶ姿勢を持ち続けることができました。

2.国際社会貢献活動(アウェイチャレンジ:インターナショナル)

「英語で仕事をしてみたい」「人の役に立ちたい」という思いを胸に

■なぜ国際社会貢献活動に参加をしようと思ったのですか?

海外で「英語を学ぶ」ことよりも「英語で仕事をする」という関学独自のプログラムに魅力を感じたからです。既に高校時代にカナダで1年間の長期留学を経験していたので、次は英語をコミュニケーションのツールとし実社会で働くことに挑戦したいと考えていました。

 また、単純に人の役に立つことがしたいと思ったことも動機の一つです。私は六人兄弟の末っ子で、なんでも与えられて当たり前、人にやってもらって当たり前の環境で育ちました。そんな中、このプログラムの存在を知り、どんなことでもいいから人の役に立つことがしたいと思い、参加を決意しました。

(*注1)国際社会貢献活動は関学のスクールモットー“Mastery for Service”を体現する、創造的かつ有能な世界市民を育成することを狙いとした国際ボランティアプログラム。関学が独自に開発したプログラムで、途上国の国際機関、NGO、教育機関などに1セメスター派遣され、フィールド調査や広報活動等を行う。関学では、この他、国連ボランティア計画(UNV)をはじめとする国連諸機関に学生ボランティアを派遣する、国連ユースボランティアプログラムも提供している。

自らの五感で感じた現地のリアルなライフスタイルをSNSで発信

■国際社会貢献活動ではどんな経験をしましたか?

マレーシア・サラワク州イバン民族の伝統行事にて

マレーシア・サラワク州イバン民族の伝統行事にて

私は、マレーシアのサラワク州にある政府観光局(STB)に派遣されました。現地での主な仕事は、SNS(主にフェイスブック)やSTB公式ホームページのブログを通じた現地の広報活動が中心で、イベントの運営補助をさせていただくこともありました。

 広報活動をする際には、既存の観光情報を真似るのではなく、実際に自らの五感で感じたことをもとに、一旅行者の視点から情報発信することを重視しました。山奥に住む先住民族の伝統行事に参加するなど地元の人と交流を深め、現地のリアルなライフスタイルの発信に努めました。

「初心に戻る重要性」「人の役に立つとはどういうことか」を学ぶ

■プログラムを通してどんな学びがありましたか?

現地での活動が始まるまで仕事内容は決まっておらず、自ら提案して仕事をもらうという形でした。派遣される前に、観光パンフレットの日本語翻訳や観光動態調査など、SNSでの情報発信以外にも様々な案を持って現地に向かいましたが、実施の許可をもらえたのは結局広報活動のみでした。当初は、SNSを使った情報発信など誰にでもできることであり、マレーシアに学びに来ているのになぜろくに仕事をもらえないのだろう、と思い悩む日々が続きました。

 それでも、少しでも多くの人にサラワクのことを知ってもらいたいという思いから、投稿内容に工夫を凝らし発信し続けた結果、徐々にフォロワーや投稿へのコメントが増えました。中には「サラワクの魅力をもっと発信して!」という現地の人からのコメントもあり、その時、自分の投稿を楽しみにしてくれる人の存在(自分は誰かの役に立っているのだということ)に気がつきました。その時初めて、私は自分の理想(自分がやりたかった仕事)と現実(実際に自分がやった仕事)のギャップに対するショックから、いつの間にか自分の中で目的(人の役に立つこと)とそれを叶えるはずの手段(STBで働くこと)が入れ替わっていたことに気がつきました。

 何をするにおいても自分の目的や軸を持ち続けることは大切ですが、壁にぶつかった時にこそ、自分の目的はなんだったのか、そのために自分は何をして来たのか振り返り、何が原因でこんな状況にあるのかを考えることの大切さを痛感しました。同時に、本当に人の役に立つということは、相手が自分に求めていることを理解し、それに対して全力を尽くすことなのだと学びました。

学生にとっての社会貢献とは何か

■帰国後、プログラムの参加経験をどのように活かしましたか?

帰国後、「グローバルゼミB」という科目履修を通じて、「学生にとっての社会貢献とは何か」を考える機会を持ちました。授業の課題で、母校の高校や所属学部のチャペルアワーで後輩たちに向け、自身の活動とそこから得た学びを発表しました。発表準備をしていく中で、この国際社会貢献活動は、実際に現地で学生自身が「貢献すること」よりも「学ばせてもらうこと」の方が多いと実感し、私たち学生にとっての社会貢献は帰国した後にこそ本来の意味があるということに気づきました。

 学生の恩恵としてたくさん学ばせてもらい、その学びや失敗を時間をかけて振り返り、吸収することで、それらを次に活かすことができます。そのように「学びを社会に還元すること」、たくさん学び、人に伝え、そして社会を変えていくきっかけとなることが学生にとっての一番の社会貢献なのだと思いました。

3.社会探究実践演習(朝来・竹田城下町活性化PJ)(アウェイチャレンジ:ハンズオン)

地域の人々と強い信頼関係を築き、学生にしかできないことに挑戦

■ハンズオン・ラーニングプログラム(*注2)ではどんな活動をしましたか?

朝来・竹田城下町活性化PJ参加者の皆と一緒に

朝来・竹田城下町活性化PJ参加者の皆と一緒に

国際社会貢献活動で得られた学びを国内で活かしたいという思いと同時に、観光プランの企画運営などに一度挑戦してみたいという思いがあったので、社会探究実践演習(朝来・竹田城下町活性化PJ)への参加を決めました。このプログラムでは、プロジェクト全体で行う城下町での観光動態調査と共に、インスタグラムでの情報発信と、インバウンドをターゲットにした観光ツアー案の作成に主に取り組みました。

(*注2)キャンパスを出て、社会に学ぶ」をキーコンセプトに、企業や地域、行政、NPO・NGO等と連携し、主に①課題解決・企画提案型プロジェクト、②インターンシップ、③フィールドワークを中心とした実践型の体験学習プログラム。ハンズオン・ラーニングプログラムの参加を通して、「社会の課題に自ら向き合う学修姿勢・思考力・行動力」を修得することを目指す。 詳細はハンズオン・ラーニングセンターのHPを参照。

プログラムに参加して得られた二つの気づき

■このプログラムに参加し、どんな気づきがありましたか?

大きく二つの気づきが得られました。まず一つ目は、「問題の構造を見ること」の重要性についてです。授業を受けて間もない頃、竹田の観光地としての課題は「多言語対応が充実していないこと」、「情報が少ないこと」というように、自分が目にしたものや聞いたことをそのまま受け止めていました。そしてそれらを「問題」だとして、次は「多言語のガイドや情報を増やすべきだ」、「ネット上での広報をさらに進めるべきだ」、などの表面的な「解決案」を出して問題解決を試みようとしました。

 しかし、授業での話し合いやフィールドワークを通じて、問題発見・解決能力とは、ただ単に相手の話を鵜呑みにせず、疑問に思うこと、判断する前に本当にそうなのか自分に再度問うクリティカルな思考を持つことが重要なのだと学びました。そうすることによって、以前よりも城下町における課題の構造、課題がある環境に目を向け、そしてそれらを踏まえた上で課題を整理し、現実的な提案へ繋ぐことができるようになったのではないかと思います。

 第二に、地域の課題を「自分ごと」として捉えることの重要性を実感しました。このプロジェクトを通じて、竹田の穏やかな城下町の雰囲気を肌で感じ、ボランティガイドさんなど地域の人々と交流し、彼らの温もりに触れました。そして、授業全体を通じて協力してくださった商工会の方々と強い信頼関係を築くことができました。地域活性化とは、現地と現地の人々をよく知り、強い信頼関係を築かなければ成し遂げられないものだと学びました。

関わった全ての人から得られた学び

■プログラム中にどんな人と関わり、どんな学びが得られましたか?

現地での成果報告会にて

現地での成果報告会にて

この授業では、クラスメート、竹田の地元の人々、商工会の方々など、本当にたくさんの人と交流する機会がありましたが、全ての人から様々な刺激を受けました。

 まず、クラスメートからは、何においても真っ先に動き出す積極性を学びました。何か言われた瞬間に、考えながら動く彼らの動きに比べて、自分はものを聞いてから考え、そして行動するという受け身の姿勢だったことに気づきました。

 次に、商工会の方々やボランティアガイドの方々です。学生と真剣に向き合って、竹田の持続的な発展に向けて、私たち学生にしかできないこと、私たちがするから意味があること、これらの重要性を何度も教えてくれました。地元の人々とのこの様な信頼関係を築くことができたおかげで、授業での活動がここまで成り立ったのだと思います。

 そして、竹田の観光客の方々です。たくさんの方がアンケートやヒアリングに答えて応援してくれましたが、中には「学生に何ができるのか」を問うてこられた方もいました。しかし、その質問によって、自分たちは地域の持続的な発展に向けて課題の解決策を提案すると言う目標があるのだと、改めて自分たちの立ち位置を認識することが出来ました。

 最後に、一番の刺激を受けたのは授業を担当してくださったハンズオン・ラーニングセンターの奥貫麻紀先生です。時に厳しい指摘を下さり、私たちが課題に悩んでいる時は具体的なアドバイスをくださるなど、忙しい時間を割いて私たち学生を全力でサポートしてくださりました。

4.二つのアウェイチャレンジを通して得られた学び

海外と日本で「シチュエーショナル・リーダーシップ」の重要性を実感

■海外での国際社会貢献活動と、国内でのハンズオン・ラーニングプログラムの両方に参加したからこそ得られた気づきがあれば教えてください。

「メンバーの業務スキルや意欲に応じて異なるリーダーシップを発揮する」というシチュエーショナル・リーダーシップの重要性を学びました。

 以前の私は、グループワークにおいて分担された仕事をしない人、連絡をまともに返さない人に対して一方的に責める傾向がありました。マレーシアで現地の職員と共に働く中でも、幾度となく現地職員の「適当さ」や「マイペース」に驚かされました。報・連・相という概念が全く成り立っていない状況に置かれ何度もイライラすることもあれば、仕事にやる気のない人ばかりだと呆れることもありました。しかし、彼らとの仲が深まるうちに、彼らののんびりした性格から学ぶこともたくさんありましたし、彼らの仕事に対する考え方と私の考え方がただ単に違うだけなのだと気づきました。

 朝来・竹田城下町活性化プロジェクトにおいても、グループワークでメンバーとの意思疎通が十分にできなかったり、各メンバーのやる気の違いによって活動が進まないことがありました。しかし、一度メンバーと話し合いの機会を設けたことで、チームメンバー全員に自分と同じやる気や価値観があるとは限らないことを理解し、その上で各メンバーの得意不得意を考え、仕事をうまく分担していくことができました。この気づきのおかげで、メンバーそれぞれが状況に応じたリーダーシップをとっていくことができ、最後まで全員でプロジェクトを実現することができました。これは、マレーシアでの気づきを朝来・竹田城下町活性化PJで実践的に活かすことができた出来事だと思っています。

5.卒業後の目標と今後の夢

日本と世界を繋ぎ、日本の発展に貢献したい

■卒業後の進路、そして今後の夢について教えてください。

卒業後は電子部品メーカーに就職する予定です。

 以前は、漠然と将来は海外で働きたいと考えていましたが、いまは日本で働きたいという思いが強くあります。国際社会貢献活動ではマレーシアのサラワクを日本人に発信し、帰国後は朝来・竹田城下町プロジェクトを通じて日本を海外に発信しました。両方の経験を通じて、やはり将来は自身の母国と世界を繋ぐ役割を果たし、日本の発展に貢献できる仕事がしたいと考えるようになりました。

 世界に日本の技術を発信する、そういった形でも日本の素晴らしさを発信することができると考え、この業界に就職を決めました。現段階で明確な目標というものはありませんが、これまで培ってきた語学力を活かし、いち早く世界で通用するビジネススキルを身に付けたいと考えています。

6.後輩へのメッセージ ~さいごに~

少しでも興味を持ったら、まずは足を踏み入れることからスタート!

■関学の後輩、そして今後関学への進学を志す高校生に向けてメッセージをお願いします。

潮 華音さん

潮 華音さん

大学は、人生の中でできることの選択肢とそのための自由な時間が最も多く与えられる場ではないかと考えています。

 私は関学に入って、大学がこんなに多くのプログラムや授業を提供してくれることに驚きました。ですが、高校までと大きく違うのはその与えられる機会を自ら積極的に掴まなければならないということです。

 私は学生のうちにしか経験できないことをたくさんしたいという思いから、学部での授業以外に国際社会貢献活動、ハンズオン・ラーニングプログラムなど、たくさんのことに挑戦しました。もちろんどれも簡単なものではなく、失敗や挫折を何度も経験しましたが、全てが自分の成長に繋がってきました。

 皆さんも、どんなことでもいいので、何か少しでも興味を持ったら、とりあえず足を踏み入れることから始めてみてください。関学には、学生が挑戦し、失敗を繰り返しながら成長できる環境が整っています。