田中 真央さん(国際学部4年)
~シンガポールでの交換留学を経て、国際機関での社会貢献活動に参加~
(プロフィール)
2016年大阪府の関西創価高等学校を卒業後、同年4月関西学院大学国際学部アジア研究コースに進学。
大学入学まで海外渡航経験はなかったが、大学2年次秋学期にシンガポールの南洋理工大学で1セメスターの交換留学に参加。大学3年次秋学期には、「国際社会貢献活動」プログラムに参加し、オーストラリアの赤十字国際委員会(ICRC)でボランティア活動を経験。
在学中に2つのインターナショナルプログラムに参加し、ダブルチャレンジを修了。将来の夢は途上国を含めた世界全体に貢献することのできる国家公務員になること。
1.所属学部での学び(ホームチャレンジ)
同級生から刺激を受けたハイレベルな英語授業
■国際学部ではどんなことを中心に学びましたか?印象に残った授業について教えて下さい。
国際学部では社会学や経済学、ビジネス、言語学などの様々な分野を幅広く学ぶことができました。入学当初は元々興味があった政治学や社会学の授業を中心に履修していましたが、学年が上がるにつれて、それまでは難しそうだと敬遠していた経済学などの授業にも挑戦するようになり、自身の興味の幅が大きく広がりました。
最も印象に残っている授業は、必修英語の「English」です。入学当初は週4回「English」の授業があり、クラス制でグループワークも多い授業だったため、この授業を通して仲の良い友人ができました。高校時代より英語は得意なほうだと思っていましたが、国際学部は帰国子女や留学経験者の学生が多く、入学当初は実際の自分の英語能力の低さを痛感したのを覚えています。
週4回の授業はReading, Writing, Speaking, Listeningの各分野に分かれており、授業内容は実際に自分でアウトプットをすることが多い実践的なものでした。ただ机に向かって文法事項を勉強していた高校時代とは異なる授業スタイルや、周りの学生の英語能力の高さには非常に驚きましたが、この授業があったからこそ、「もっと英語を使えるようになりたい」と強く思うようになりました。
メンターの先生との出会い
■自分自身の人生、キャリア設計に影響を与えてくれた教職員がいれば教えてください。
国際学部の關谷武司教授です。關谷先生は私のゼミの担当教員なのですが、日ごろの小さな悩みから将来のことまで、いつでも真摯に相談に乗ってくださいます。週に1度のゼミの授業時間以外にも、課外活動等で關谷先生とお話をする機会がたくさんあり、先生が本当に1人1人の学生との時間を大切にしてくださっていることを、身をもって感じています。
ゼミに入りたての時に先生が、「大学では色々な選択肢があるけれど、与えられた選択肢を受け身になってただ選んでいるだけではいけない。何でもできる環境であるからこそ、自分たちで考えて新しいことに挑戦し、時には自分たちで何かを創り出すことが大切だ。」とおっしゃってくださり、今まで何事に対しても受け身の姿勢だった自分自身を反省しました。こうした先生のご指導を通じて、以前と比べて何事にも前向きに、主体的に取り組むことができるようになったのではないかと感じています。
2.交換留学(アウェイチャレンジ:インターナショナル)
初めての海外、シングリッシュでのコミュニケーションから学んだこと
■南洋理工大学に 交換留学 を決めた理由を教えてください。交換留学の経験を通して学んだことを教えてください。
交換留学先としてシンガポールの南洋理工大学を選んだ理由は、シンガポールの多文化性と理系分野の充実です。シンガポールは中華系・マレー系・インド系が共存する多民族国家であり、東南アジア諸国にも近いため、様々なバックグラウンドを持つ人々とコミュニケーションが取れると思いました。また、南洋理工大学は大学世界ランキングでもトップクラスであり、理系分野からの社会問題解決にも積極的です。もともと、環境などの理系分野も学んでみたいという思いがあったため、敢えて理工系の大学である南洋理工大学での留学を決めました。
海外に行くこと自体が初めてだったため、シンガポールでの経験は全てが新鮮でした。英語を使用して様々なバックグラウンドの人々とのコミュニケーションを経験し、私がそれまで持っていなかった新しい考え方に触れることができました。
現地では環境社会学関連の科目や、マレー語の授業なども履修しました。学業以外には、視覚障がい者の子供への学習支援や現地大学生への日本語指導などのボランティア活動に参加しました。シンガポールで話される英語「シングリッシュ」には当初不慣れでコミュニケーションが難しいと感じることもありましたが、悩みながらもコミュニケーションの方法を自分なりに工夫するなどし、自身の成長に繋がったのではないかと思います。
シンガポールに留学するまでは、「アメリカ人のような英語を流暢に話さなくてはならない」という固定観念を持っていましたが、現地での経験を通して、英語にはシングリッシュなどの様々な個性があり、多少アクセントが異なっていても、相手に伝わってコミュニケーションができれば問題ないのだと実感しました。
3.国際社会貢献活動(アウェイチャレンジ:インターナショナル)
交換留学での経験を自信に変え、国際機関でのボランティアに挑戦
■国際社会貢献活動に参加した理由、そして現地での活動内容について教えてください。
入学当初より国際ボランティアに興味を持っていたのですが、海外に行ったこともなかったため、海外で働くということに自信がありませんでした。そのため、まずは英語力を養う必要があると考え、交換留学に挑戦しました。シンガポールでの留学、そしてボランティア活動を経験後、国際ボランティアプログラムに対する憧れは更に強くなりました。新しいことに挑戦してみたい、国際機関での仕事を体験してみたいと思い国際社会貢献活動への参加を決めました。
私は赤十字国際委員会(ICRC)オーストラリア事務所に2018年9月から2019年2月まで派遣されていました。ICRCでは戦争や武力紛争およびその他暴力の伴う事態に苦しむ人々に対して人道的保護と支援を行っており、私が派遣されたオーストラリア事務所では、ICRCの活動や、国際人道法に対するオーストラリア政府やアカデミックからの理解・協力を得るための活動を行っていました。具体的には、私は広報業務やリサーチ業務に携わり、広報用のアニメーションやGIF画像を作成したり、太平洋地域における部族紛争に関するリサーチを実施したりしました。
主体的に挑戦し、困難な局面にも粘り強く努力できる自分へと成長
■ 国際社会貢献活動 に参加して、どんな学びがありましたか?
派遣された当初は事務所自体が忙しく、業務をなかなか任せてもらえず悩んだこともありました。しかし、時間を経るにつれて、「このまま受け身の状態で過ごすだけではいけない」と感じるようになり、ある日、自分で広報用のアニメーションを作成し、上司に提案しました。これをきっかけに、徐々に様々な業務をまかせていただけるようになり、嬉しかったことを覚えています。
最終的には、核兵器廃絶に関するグローバルキャンペーンで使用する広報用のGIF画像を作成し、アジア・太平洋地域のSNSに掲載していただきました。このGIF画像は事務所の上司からだけでなく、ジュネーブ本部の職員の方からも温かいコメントをいただき、自分に自信を持つことができました。
こうした経験を通して、派遣前の自分自身と比べると、主体的にチャレンジすることや、困難があっても粘り強く努力することができるようになったのではないかと感じています。また、紛争という大きな課題に対して、実際に国際機関がどのように取り組んでいるのかを働きながら学ぶことができ、本当に貴重な経験となりました。日本では普段の生活の中で、紛争といったトピックに触れる機会は少ないですが、本プログラムを通して遠くで起こっている紛争とオーストラリアや日本といった先進国との関係性を学び、「自分ごと」として紛争問題を考えるようになったことも大きな気づきであると思います。
二つの異なるインターナショナルプログラムに参加して
■交換留学と、国際社会貢献活動の二つに参加したからこそ学べたこと、得られた気づきがあれば教えてください。
シンガポールでの交換留学では同世代の学生と過ごすことが多かった一方で、オーストラリアでの国際社会貢献活動では社会人の方と関わることが多かったため、2つのプログラムに参加したからこそ、様々なバックグラウンドの人とコミュニケーションをとることができ、より多様な視点が得られたのではないかと思います。
シンガポールでは初めての海外経験ということもあり、様々なチャンスに挑戦することを目標としていましたが、オーストラリアでは自身でチャンスを作り出すことを目標とし、日々の業務に励んでいました。シンガポールで英語力を向上させ、世界中の学生と切磋琢磨しあったからこそ、国際社会貢献活動プログラムに参加したいという気持ちがさらに強くなりましたし、オーストラリアで働くための基礎体力がついたのではないかと思います。
4.卒業後の目標と今後の夢
世界全体に貢献できる人材を目指して
■卒業後の進路(予定)、そして今後の夢について教えてください。
ICRCでの国際社会貢献活動を終え、日本人として途上国を含めた世界全体に貢献したいという気持ちを持つようになりました。現在は、国家公務員として世界に貢献することを目標に勉強に励んでいます。留学を含めた大学時代の様々な経験を通して、挑戦することと粘り強い努力の重要性を学ぶことができたので、将来どんな道に進むことになったとしても、世界に貢献できる自分に成長できるようこれからも挑戦と努力を続けていきたいです。
5.後輩へのメッセージ ~さいごに~
興味のあることは主体的に挑戦しよう!
■関学の後輩、そして今後関学への進学を志す高校生に向けてメッセージをお願いします。
関学は志があれば、どんなことにも挑戦でき、その挑戦を様々な面でサポートしてくれる環境であると思います。私自身も、入学当初は自分が2つのインターナショナルプログラムに参加することになるとは予想もしていませんでしたが、様々なことに挑戦している周りの関学生と出会い、自分も頑張ろうと思うようになりました。
4年間という長いようで短い大学生活をどのように過ごすかは本当に自分次第だと思うので、受け身の姿勢ではなく、主体的に興味のあることにどんどんトライしてみてほしいです。