奥平 裕士さん(経営戦略研究科2年/2020年国際学部卒

[ 編集者:総合企画部(大学企画・グローバル化推進担当)       2021年3月 日   更新  ]

~複数のインターナショナルプログラム、MS、早期卒業で大学院副専攻「国連・外交コース」へー挑戦を続けた3年間ー~

プロフ写真

(プロフィール)

 2017年3月に関西学院高等部を卒業。同年4月関西学院大学国際学部に進学。
 
 関西学院高等部2年のとき、クラスに留学生が来たことがきっかけで、国際交流に興味を持つ。最初は英語での意思疎通に苦労するも、一緒に過ごす時間を重ねることでいつしか英語力も向上し、留学生が帰国した後も、母国のノルウェーを訪ねて交流するなど、深い関係を築くことができた。

 大学で何を専門的に学ぶかをじっくり考えたかったため、政治経済、宗教、文化、言語など多岐に渡る分野を学べる国際学部への進学を選択。学部在学中は、海外フィールドワーク(ベトナム)、国際社会貢献活動と、学内の2つの留学プログラムに参加すると同時に、自身でも北京語言大学へ短期留学。

 また学業にも熱心に取り組み、3年での早期卒業を目指しながら学部副専攻「国連・外交プログラム」や、教育実習等にも挑戦。TOEICは大学3年間で705点→920点へ伸長。英検一級も取得した。

 2020年3月、早期卒業(3年)で国際学部を卒業し、同4月、関西学院大学大学院経営戦略研究科へ進学。 大学院副専攻「国連・外交コース」 にて、世界で活躍する日を目指して学びを深めている。
 
 

1.所属学部での学び(ホームチャレンジ)

分野を絞らない、国際学部での自由で幅広い学び

■国際学部ではどんなことを中心に学びましたか?

 国際政治学や国際関係論を軸に、国家の政策意思決定プロセスや国際関係の諸理論の歴史的変遷について追究しました。また、日本外交がどうあるべきか、日本が今後歩むべき発展のシナリオは何か、アジア諸国とどのように付き合うことが日本の発展に資するのかといったことも考えました。私の入学した2017年は、アメリカのトランプ大統領が自国第一主義を掲げて当選した年でした。この頃から、次第にグローバル化の負の側面が社会でも共有され始め、私の中で、国際経済の中心が急速に西側諸国以外へとシフトしていくのではないかという感覚が漠然とありました。とりわけアジア圏の地政学的な重要性を認識していたこともあり、三年生のコース選択ではアジア研究コースを選びました。

■国際学部で印象に残った授業について教えてください。

 一年時に受講した会計学基礎です。講義では、損益計算書と貸借対照表、またキャッシュフロー計算書の読み方を学習し、同業他社の財務諸表を比較検討しました。初めて会計学に触れた私にとって簡単ではありませんでしたが、会計の勘定科目と英語の英単語を覚える感覚は似ているという担当教員(木本 圭一 国際学部教授)の言葉を信じ、コツコツ勉強していたのを覚えています。会計は企業・政府機関を問わず欠かせない知識であることを踏まえると、学部時代にその素養を身につけられたことは今でも大きな財産となっています。

 また、学部の授業ではありませんが、教職課程の集大成として参加した教育実習も印象に残っています。私は、高校二年生の英語科の授業を担当しました。その他にも、HR活動や文化祭に向けた手伝い、部活の指導等にも携わりました。自分が生徒の頃は、「先生=教科指導が中心」というイメージがありましたが、実態は全くそうではありませんでした。むしろ、試験の採点や配布プリントの作成、部活の連絡といった業務が大半を占めていました。僅か二週間ではありましたが、教員の大変さと難しさの一端を垣間見た時間でした。

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2.副専攻プログラム(アウェイチャレンジ)

国際社会貢献活動~日本に関するワークショップの企画・運営に挑戦~

■なぜ学部副専攻、「国連・外交プログラム」の履修を決めたのですか。

 実務の場面で活躍されている先生の講義を受講しようと考えたからです。学部では国際政治学や外交政策論を中心に履修していましたが、自分の中でこれらの知識が実務上どのように活かされるのか、あるいは問題となるのか消化できていませんでした。これを具体化するには、国際機関や外国の場で実務経験を積まれた先生の授業が受けられる本プログラムが一番の選択肢でした。

プログラムを通してどんな学びがありましたか。

 国連・外交プログラムで履修した「Career Seminar for International Organization」という授業では、国連の採用試験で用いられるインタビュー形式 (Competency Based Interview)を理解し、それを1対1で行われる模擬面接で実践します。先生からの質問に簡潔かつ明瞭に答えるべく、ホームページで自分の希望する国際機関の情報を詳しく調べ、事前に想定される質問を考え、その答えを英語で繰り返し練習するなどして本番に臨みました。学部生のうちに、国際機関の求める3つの資質 (Core Values)と8つの能力 (Core Competencies)を学び、自分には何が足りないのかを客観視できたことは大きな学びとなりました。                                                            
 

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3.インターナショナルプログラム(アウェイチャレンジ)

毎日が発見の連続~3つの留学先で、日常では気がつけない世界の在り方に気付く~

■在学中に2つのインターナショナルプログラムに参加、自身でも北京へ短期留学されました。留学を通じて学んだこと・得られたことを教えてください。

留学先のマレーシアにて(左奥が奥平さん)
留学先のマレーシアにて(中央から左に3人目が奥平さん)

 

 
 実際に現地へ赴き、目で見て、肌で感じなければ分からない感覚を得られたことが一番の収穫です。在学中、ベトナムフィールドワーク、マレーシアでの国際社会貢献活動、北京語言大学での短期留学を経験しました。ベトナムでは、私が想像していたより遥かにバイクの数が多いと感じましたし、マレーシアでのGrab(東南アジアで広く使われている配車アプリ)の普及率は凄まじく、中国内に日本語学習者のコミュニティがたくさんあることにも驚きました。留学中は毎日がこうした発見の連続で、普段過ごしているだけでは気づけないようなこと、あるいは見落としてしまいそうなことにもアンテナが張れるというのが留学に行く一つの意義ではないでしょうか。
 

国際社会貢献活動~日本に関するワークショップの企画・運営に挑戦~

■国際社会貢献活動で派遣されたマレーシアではどんな活動をしましたか?

 国際社会貢献活動では、マレーシアにある中華系私立大学UTAR (Universiti Tunku Abdul Rahman)で活動しました。派遣先のDSSC(Department of Soft Skills Competency)では、学生のソフトスキル向上を目的としたワークショップやイベント、短期海外研修等を企画しています。私は、主に日本文化や日本語、また日本料理に関するワークショップを担当していました。その傍ら、オフィスの広報や学生に向けたワークショップの内容の説明、UTARを訪問する留学生の対応等に従事しました。

 UTARでは、日本に関して、多くの学生が好意的な印象を抱いていたことに驚きました。中には、日本語や日本文化に精通した学生がおり、私よりも彼らの方が漫画やアニメについて何倍もよく知っていることがしばしばありました。そんな彼らの期待を裏切らないようにと、上司とも相談の上、何度もワークショップの内容を精査・調整しました。日本の生活習慣や伝統行事の雰囲気を感じてもらえるような体験型の内容を随所に織り込むことで、実際に日本を旅した感覚になってもらえるようにワークショップを構成しました。最終的には、各回50人以上の学生が参加してくれ、「もっと日本のことが知りたい」というフィードバックをもらえたことが大きな励みになりました。

 派遣先を決めるにあたっては、国際協力・教育センターの教員のアドバイスが有益でした。国際社会貢献活動に参加する学生は、長い期間をかけて準備に取り組みます。派遣先に悩んでいた際に、国際協力・教育センターの教員が親身になって相談にのってくださり、「UTARに行けば成長できるよ」と最後に背中を押してくださったことでUTARでの経験を得ることができました。その他、勉学面や進路面においてもアドバイスをいただき、現在こうして関西学院大学経営戦略研究科で学んでいます。

UTARでのワークショップの様子① (右が奥平さん)
  UTARでのワークショップの様子②(中央が奥平さん)
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4.卒業後の目標と今後の夢

「霞が関セミナー」で得た国家公務員への夢ー大学院副専攻「国連・外交コース」への進学へー

■早期卒業で大学院に進学されました。大学院への進学を選んだ理由や、将来の目標を教えてください。

 大学3年生の時に、民間就活を始めるか、公務員試験に向けた準備を始めるか迷いました。そんな時、ハンズオン・ラーニングセンターが提供する「霞が関セミナー」に参加しました。このセミナーでは、関学OBOGの先輩方からお時間をいただき、国家公務員として働くことの大変さとやりがいについて詳しくお伺いすることができました。10年先20年先に待つ日本の未来を見据え、そのグランドデザインを描く一員に自分も加わりたいと本気で考えるようになり、将来は公務員として外交政策に関わりたいと考えるようになりました。

 この将来の目標に向けて、日本の外交政策に関する知見を高め、政治学的・社会学的な観点で議論ができるようになりたいと思い、大学院への進学と、大学院副専攻「国連・外交コース」の履修を決めました。所属している経営戦略研究科および副専攻「国連・外交コース」の授業は全て英語で行われるため、海外の大学院さながらの環境で勉強できることも進学を決めた理由の一つです。卒業後は国際関係そのものをライフワークに、外務省員として、日本の国際社会におけるプレゼンスの維持・向上に努めたいと考えます。

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5.後輩へのメッセージ ~さいごに~

■関学の後輩、そして今後関学への進学を志す高校生に向けてメッセージをお願いします。

田中 真央さん
奥平 裕士さん

 
 




今関学生の方も、あるいは今後関学への進学を目指す方も、大学生活をどう過ごそうかと日々悩まれていると思います。私もそれは全く同じでした。自分が少しでも興味関心のあることがあれば、その気持ちにまっすぐ正直に向き合い、今行動を起こしてみてください。学部での学びにとどまらず、ぜひダブルチャレンジ、トリプルチャレンジもしてみましょう。

 関学には皆さんの挑戦を全力で応援する体制が整っています。私も皆さんの活躍を心から応援しています。

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