2016.01.26.
第7回国連グローバル・コンパクト日中韓ラウンドテーブルに本学学生を派遣

本学は国連グローバルコンパクト支援関学センターの活動の一環として、国連グローバル・コンパクト主催の「日中韓ラウンドテーブル」(2015年10月28日~30日、韓国・ソウル開催)に本学学生1名を派遣しました。
この派遣を通じて、学生が日中韓の企業・アカデミアからの参加者および学生と交流し、CSRについてグローバルな視点を身に付けることができるよう図っています。

なお、学生からの参加報告は以下のとおりです。

「第7回国連グローバル・コンパクト日中韓ラウンド・テーブルに参加して」

今井 恵


  今井 恵
  (イマイ メグミ)
  (社会学部社会学科 2年生)
  開催地: 韓国・ソウル
  実施期間:2015.10.27~10.30

●参加したきっかけは?

まず「日中韓三国が協力して取り組んでいるプログラム」という点に惹かれました。幼少時に中国や韓国に住んでいたこともあり、中韓の学生には親近感を感じていました。それに加え、日中韓が何かしらの分野で持続的な協力関係を築き、そこに携わることが夢の一つでした。東アジアにおいては歴史的にいざこざがあり、今でも完全には解決されていませんが、それを乗り越え、3国が友好的に歩み寄り、フランスとドイツのように協力関係を築けたらいいな、と思っていました。この会議は、その夢想が体現された形でした。また、私は新しいことにチャレンジすることが好きで、”持続可能な社会を実現するための取り組み”というざっくりしたテーマの中で、どんな話し合いをするのか、と好奇心がそそられました。

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●プログラム内容は?

開催日は三日と短く、それだけにスケジュールも分刻みでした。日中韓ラウンドテーブル会議は今年で第7回目で、今年の全体のテーマは「Prospects for the Post-2015 Business Engagement and Challenges for CJK」というものでした。これは、そのすぐ後の11月末にパリで開かれる、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)にあわせ、環境問題における企業の取り組み・社会的責任、つまりCSR(Cooperate Social Responsibility)活動に焦点を当てたものでした。

初日は午前中に飛行機で韓国へ移動し、午後からは日中韓の学生のミックスで構成されたGovernment, Company, Academiaのチームにそれぞれ分かれ、プレゼンの打ち合わせを3時間近くみっちり行いました。私はgovernmentチームに所属し、各国の政府の立場として、三国がどのような環境問題に対して、どう協力するのかについて話し合いました。その時に出た案は、CO2の排出削減、環境問題における一般市民の認知度の低さの改善、中国の大気汚染などがありましたが、後にさらに議論を重ねた結果、私たちのチームのプレゼンテーマは「CO2の排出量取引に関する三国の政府間協力」となりました。そのあとは歓迎会兼ディナーで、楽団の人が演奏する中、和やかな雰囲気の中で学生と話したり、UNGCの各ローカルネットワークの代表の方のお言葉を聞いたりしました。

二日目は、大きく分けて3つのセッションによる構成です。二部に分かれたBusiness Session, Academia Session, そしてYouth Sessionです。一つ目のBusiness Sessionでは日中韓の企業の代表の方が、「Post-2015 Business Engagement」をテーマに自社の環境問題におけるCSRの取り組みについて発表されており、二つ目では「Climate Change&Public Private Partnership」についてでした。Academia Sessionでは大学教授や研究員の方がプレゼンをし、各セッションの終わりには質疑応答が行われました。各国のユースが積極的に質問をしていました。

そして最後のYouth sessionで各国チーム、ミックスチームにそれぞれ分かれ、提言という形で10~15分のプレゼンをしました。日本ユースのプレゼンは「Youth Engagement in Disaster Management」というテーマで、日本の震災復興におけるユースと企業の連携についてでした。韓国チームは教育や就職問題、中国チームは中国が抱えている環境問題の現状と解決へのユースの期待についてで、各国とも完成度の高いプレゼンでした。すべてが終了した後、”韓国の家”という伝統韓屋お店に移動し、伝統料理を味わいながら各国の学生との会話を楽しみました。夕食後は自由時間があり、韓国の学生に案内してもらいながら明洞を観光しました。最終日はoptional tourで、希望者のみ企業訪問をしました。CSR活動や環境問題への取り組みに関してはあまり予備知識がありませんでしたが、プレゼンはとてもわかりやすく、学生の参加者も何らかの形で国連Global Compactや環境問題に携わっていたので、プレゼンや話し合いから新しい知識をたくさん吸収できたと思います。

●印象に残っていることは?

印象深かったのは、参加していた各国の学生が一人一人とても真剣に取り組んでいたことです。議論になると、日本では意見をあまり発しなかったり、プレゼン作成を人にまかせっきりにする、ということがしばしばみられますが、このラウンドテーブルのプレゼンにおいては、参加者みんなでいいものを作り上げていこうという意気込みが感じられました。そのために各国の立場から積極的に意見を発したり、専門知識はなくても情報を探したりして、時間がない中で急いで議論のポイントを明確にし、内容を説得力のあるものするために余力を惜しみませんでした。中韓の学生はよく発言して存在感があるので、その熱心で勤勉な姿勢を見習って、日本の学生も下手なりにでも発言して、存在感を強めていかなくてはならない、と反省を込めて伝えたいと思います。

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●参加に必要な準備は?

今回参加してみて、準備段階で関学生にとっての一番の難点は"距離″だと感じました。GCNJのオフィスは東京・六本木にあり、3回ほどの公式ミーティングはそこで行われ、テーマに関連のある講演会は上智大学、またプレゼンを作り上げていく中で何回かある学生のみの話し合いの場も東京であります。私は2回ほど公式ミーティングに参加しましたが、直接メンバーと話し合うことができない、自分の意見があまりプレゼンに反映されない、というハンデを覚悟しなければなりませんでした。その上で、自分はチームのために何を貢献できるのかを考え、案出ししたり、SNSでの話し合いでは積極的に発言したり、日中韓のMIXチームのプレゼンで発言したりするなど、自分の役割を考えて動くことが必要です。また、こういう公式の場では英語は公用語で、中韓の学生の英語は流暢なので、怖気づかずに自分の意見を伝えることも大事です。

●さいごに(帰国後、経験を生かしてやりたいこと等)

まず一つには、意思疎通ツールとしての英語力をもっと磨いていくことを強く決心しました。中韓の学生は英語をとても流暢に操って自分の意見を発信しています。国際社会で活躍したい人にとって、英語はもはや武器ではなく、”話せて当たり前”のツールになっています。今回参加して、英語をうまく操れない危機感というのを強く感じました。二つ目に、自分の専門分野や、興味関心・教養など関する知識や話題を幅広く豊富に身に着けることです。英語が話せても、語れる内容がないとコミュニケーションはうまくいきません。私は社会学部という、多様な学問を幅広く学ぶ学部に所属していますが、色んな学問の入門知識をかじれるというメリットがある一方、一つ一つの学問に対して深い知識がない、という弱点があります。これからゼミでもっと専門的な研究をすると同時に、本やニュースなどに触れ、多様な話題に対応できる教養を身に着けていきたいと考えています。”話していて面白い””もっと話したくなる”人になるのが目標です。そして最後に、言語スキルや知識などよりも大事なのは、熱心な姿勢だと思います。たとえ言葉がうまく通じなくてもたじろがずに、自信と関心をもって相手と接する、議論に参加することで、チームにポジティブな影響を与えることができるし、自分の成長のためにもなります。これからも熱心に勉強したり、いろんな経験をしたりしていきたいです。貴重な機会を与えて下り、とても感謝しています。